「大きくなったらお父さまにおねがいして、かならずむかえにいくからね。それまで、がんばって」 幼き日に出会った少女ヴィーのその言葉を、少年は心の支えにしていた。たとえそれが、ただの口約束だったとしても。アルタートン伯爵家の次男セオドールは、長男ロードリックが手がけるべき書類作業を全て押しつけられている。王都守護騎士団の一員である兄に実力で敵わないセオドールはそれを淡々とこなしていたが、彼らの父母はそのことを認識していなかった。あくまでも弟は、家の後継ぎである兄の手伝いをしているだけなのだと。そんなセオドールに、ハーヴェイ辺境伯家への婿入りの話が舞い込む。王家から目をかけられている辺境伯家との繋がりを持ちたい父は、セオドールに対して三日で荷物をまとめるよう言い放つ。失意と諦観の中、辺境伯家へと向かったセオドールだったが、彼を待ち受けていたのは、あのときの少女で──。
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